シリーズ 名曲を聴く③
「紀文大尽」(明治44年)
作詞/中内蝶二
作曲/四世吉住小三郎(慈恭)・三世杵屋六四郎(二世稀音家浄観)
~邦楽の近代の在り処を探る〜
今藤 政太郎×配川 美加(日本音楽研究家)
近現代に生まれた選りすぐりの名曲を聴くシリーズの第三弾は、明治時代まで遡ります。坪内逍遥、二葉亭四迷ら文学の近代化が見られるこの時代、長唄界でも近代化を目指す動きがあり、長唄研精会が結成されました。そこで生まれた新曲の数々は、著名な文人の作詞もあって評判をとり、今日も流派を越えて演奏されています。
今回は、研精会屈指の傑作であり名曲、人気曲である「紀文大尽」を取り上げます。作曲者である吉住慈恭・稀音家浄観の貴重な録音音源を聴きながら、日本音楽研究の配川美加氏をお迎えして、今藤政太郎が研精会の流れの外の者の目で、この曲のどこがどのように新しいのか、その独自性・革新性と普遍性を探ります。
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